ひとと接する時もそうですが、相手が動物や昆虫、木や草であっても、相対するときは敬意をもって接するのが大切です。大抵の人は、人以外の存在は「物」と思っていますから、変なことを言うやつだと思うことでしょう。

子供の頃、私の友達は鶏でした。
その友達は、食べ物としてトカゲ(正確にはカナヘビ)が大好きで、普段の動作からは思いもよらぬ電光石火で捕らえ、叩きつけて飲み込んでしまうのが常でした。

私はというと、何故かそのトカゲが遊んでみたい友達として好きで、何とかお近づきになりたいと思っていました。でも鶏にいったん捕まったトカゲは、もう救いようがなかったのです。

ある日、ひなたぼっこをしているトカゲを見つけた私は、心の中で精一杯相手を褒めちぎり、友達になりたいのだと言って、とてもゆっくりな動作で手をのばしました。
そうしたらトカゲは自分から私の手のひらに乗ってきて、長いこと気持ち良さそうにくつろいでいました。
それからは何度でも、そのやり方で遊ぶことができたのです。

また、ずっと後にアパートの1階に住んだ時、出窓のしたに生えた茂みに、アシナガバチが巣を作りました。女所帯で物騒なので、蜂が居てくれる方が安全とそのままにしていましたが、枝を切りつめる時には必ずお礼を言って事情を説明し、決して危害を加えない旨伝えてからそっと切りました。
彼らは威嚇の動作もとらず、何事も起こったことはありませんでした。

春に寝ぼけて出歩き、車に轢かれそうになるヒキガエルを助けた時、道路を横断するところで迷っていたトカゲの子供を助けた時、稲刈りであわてふためくカマキリに手を伸ばしたとき、そのような交流がありました。
後になって、「ヒトはイヌとハエにきけ」J.アレン・ブーン著に出会い、自分の経験していることは思い込みではないと思ったことでした。

全てのものはその役割を果たすために存在しています。そのことに敬意をもって接し、人としての行動をするべきだと思うのです。