前に道で会った私に自分の物語りを話してくれたお爺さんのことを書きましたが、10時頃に散歩で坂道を上り始めるとよく出会います。買い物に行く時間らしいのです。しばらく前には、坂の細い道から片方の前輪が脱輪し車体が地についてしまった為に動けなくなっている車のそばに立っていました。

通りかかった人が助けようとやってみても、ひとりでは駄目のようです。お爺さんは歩くにも小幅でとっことっことっこ・・と行ってはしばらく休む調子ですから、助けの手にはなれません。私も無力なので散歩を続けてしまいましたが、お爺さんはそこに居続けました。

口元は入れ歯をちゃんとするお金がないのでしょうか、唇は内側に入っています。良い服は着ておらず、目もどうなのかな と思う細さ。自分は死んだら無縁仏としてどっかに埋めてもらったらいい と話した彼は、自分の行動の正しさを兄弟に理解してもらえなくても嘆くこともひるむこともなく、ただまっすぐに温かい心で生きている様子です。

私はまぶしいような思いで、見た目はみすぼらしいお爺さんに手を振ります。
見えない姿は英雄のようだなぁ と思いながら。