私たちは、あまりにも遠くへ来てしまった迷子の子どものようです。
刺したり咬んだりする虫のみならず、バカでかい家蜘蛛やムカデやヒルなどにはかなりの抵抗を感じます。それでもこの本に述べられているように、先住民族の人々のように自然界との交流に責任を持ちたいと願うなら、どのような存在も自然界の流れを守っているということを信じ、尊重しなければならないでしょう。

蚊に関しては病原菌を媒介する可能性があり、刺されるとかゆいということが、薬品を使って排除する理由になっていますが、蚊はハエとならんで花粉の媒介者であるし、トンボや魚、鳥やコウモリの餌になるのです。人間の撒く薬品は蚊にとっての天敵も殺してしまいます。

受粉の役を担っている虫を殺したら、その植物を死滅させるだけでなく、その植物に頼っている虫や、さらにはその虫に寄生する虫さえも殺してしまうことになりかねないという。まったく自然の仕組みというものは、私たちの理解を超えて存在し、科学で分かっていることはまだ一部に過ぎません。

また人間は野生動物を絶滅させ数を増やしてきた為に、自分達が血を吸う生き物の対象とならざるを得なくなっているので、豊かな自然の生態系を復活させれば変わって来る。

刺したり咬んだりする虫が土地の守護者であるという見方もあります。人間の優越感と支配欲は何もかも自分のものにする権利があると考え、ある場所を虫の為に立ち入り禁止にされてたまるかと考えますが、本来は人間もまた自然の一部なのですから。これを読むと見方が変わるかもしれません。

「昆虫 この小さきものたちの声」ジョアン・エリザベス・ローク著