これまでに就いた仕事の中で、一番好きだったのは「明細地図のチェック」というものでした。割り当てられた地図を持って歩き、そこに住んでいる人の代が替わっていないか、別の人になっていないか、また駐車場に変わったり宅地になっているところはないかなどチェックするものでした。

やる内容は同じなのですが、同じ区域をもらったとしても出会う人や状況は変わり、面白い仕事でした。1日に3〜6時間歩きます。
当初はどんな人と会うのか・・と思いながら歩き始めましたが、心重く沈んで歩き出した朝、見知らぬ通勤の人が「おはようございます!」と声をかけてくれて笑顔になれた日がありました。

暑い夏にはペットボトルに水を凍らせて持って行きますが、じきなくなります。すると名前を尋ねるだけのために寄った私に、冷たい飲み物を出してくれたり、更に持って行けと冷たい飲料を持たせてくれたり。冬は暖かいものを出されます。名前を訊くだけなのに。煮物まで出してくれた年配の方も。自分の人生を話してくれた人も随分いました。

そうやって人から温かい思いをいただいて歩くうちに、今日出会う人に、私と会って良かった、良い日だったと感じてもらえるように歩きたいと思うようになりました。
それは大部以前のことではありますけれど、私たちの中にはそういうものがあるのだと思います。

今やオレオレ詐欺だの家族のお金を盗って生活だのと、世知辛い時代になっていますが、不安の中に生きるのではなく、温かい思いにつながって生きたいと思います。