冬の日、太陽が雲に隠れている日は寒くて、外を歩いても春のような楽しみがありません。景色は枯れ草色だし、山々も杉や檜以外の場所は葉を落とした木々でぽやぽやとしています。それでも日当たりの良いところの蝋梅は花をつけて、甘い香りを放っています。

木々の間や山の斜面から聞こえる鳥の声は、光のような明るさと喜びをもたらしてくれます。何よりこんな冷たい日々のなかで、桜は蕾をつけているのです。何の楽しみもないような気がする冬の日に、もう花は準備されている。

何でもないことのようでいて、それは私に励ましを与えてくれます。
それにいつも嬉しくなるのですが、桜の木の下を通るとき、桜餅の香りがするのです。

樹木が発している香りを何というのでしょうね?
私は楠と桜の、その香りが大好きです。香りというものも、感じたその瞬間に色々なものを思い起こさせる力がありますね。五感をつかって自然にひたれるのは幸せなひとときです。