このところ昼間の気温が高めのためか、山の木々の枝先がほんのり赤っぽくなってきています。城山公園の遊歩道で、濃い桃色の桜が柔らかく開き始めました。城山というのは岩山です。この伊豆半島はフィリピンの方からやってきて本州にくっついたらしいのですが、この岩山は当時の火山の芯(固まった溶岩)だそうです。

そのちょっと他の山々とは違った風貌の城山の手前を、狩野川は流れており、その流れのほとりには、運ばれた土に芦のような草や木々が生えています。忙しく車で行き交い、また散歩で通る人はほとんど気づきませんが、そこには多種の水鳥や小鳥、猛禽類が生きています。また、鹿もよく歩きますし、雉もいます。

鳥たちはずっとここいらに居るのではなく、中国やシベリア方面に渡ったり、もっと南の方に渡ったりするのです。驚くのは南極と北極を行き来する小鳥もいて、その途中、日本に居るものもあるのだそうです。

自然の岩穴や川の流れの中や、開き始めた花のついた枝にとまる鳥たちは、それぞれに美しく、ほんわり柔らかく、生きている宝石のようです。そしてその小さな身体でどれほどの距離を飛び続け、生きてそこに居てくれるかを思う時、心からの賛美と感嘆の思いに満たされます。

朝夕の空の色をとってもそうです。ひとは今日の仕事や学校のあれこれを考え、そそくさと気づかずに下を向いて動いています。でも顔をあげて、昇ってくる陽が空をどんな色に変えていくか、沈んでゆく陽が雲と空をどんなに美しい色合いに染めながら変化させるかを見たら、賛美と感嘆の思いでいっぱいになるでしょう。

今、生きてここにいて、それらをまのあたりにできる喜びでいっぱいになり、本当はどれほど素晴らしい世界にいるのかをはっきりと知るでしょう。自分に与えられている宝を知り、幸福な思いに満たされたひとになれる。人間の世界でも、その背景にあるものと今の自分との奇跡のような関わり方、巡り合わせを知ったなら、賛美と感嘆の思いでいっぱいになるのかもしれません。